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港区立笄小学校(2009年実施)

第1回笄小学校訪問「生きものとお話しよう!」2009年6月8日(月)

今日やって来たのは、港区西麻布の「港区立笄小学校」です。広尾駅から歩いて7分。周りにはルーマニアや中国などの大使館があり、笄小学校にもたくさんの外国人児童が通っています。都会の真ん中にあるこの学校にビオトープをつくって、生きものをいっぱい呼びましょう!

まず、アサザ基金の飯島先生が「生きものとお話する方法」を教えてくれました。生きものとお話して、生きものの気持ちがわかるようにならないと、いいすみかをつくることができません。生きものは何をしたいのかな?どうすれば喜んでくれるの?



今回ビオトープを作るのは3年生。飯島先生の問いかけに、みんな元気に手を上げます。



生きものとお話するために、①体のつくり(形や大きさ) ②すみか ③くらし を学びます。とんぼの目が大きいのは、すみかが大きな「空」だからです。



小さなお魚は浅いところがなければ生きていけません。逃げる場所がないと、大きなお魚に食べられてしまいます。それと、産んだ卵をくっつけるための水草も必要ですね。



みんな、一生懸命ノートをとります。だんだん生きものの気持ちがわかるようになって、わくわくしてきました。どんな生きものとお話しようかな・・・



第2回笄小学校訪問「学校の周りの生きもの」2009年6月29日(月)

学校のまわりには、どんな生きものがいるのかな?近くにある「有栖川宮記念公園」(港区南麻布)へ、観察に行きましょう!





公園に向かう道のりは都会の町並みですが・・・



公園の中に入ると、自然がいっぱい!明るいところや暗いところ、池や川など、さまざまなすみかがあるので、いろんな生きものがいるはずです。飯島先生の説明を聞いたら、観察スタート!





どんどん生きものを見つけては、飯島先生に「これなぁに?」とたずねます。いろんな種類の鳥や蝶、とんぼ。水の中にはお魚やカエル。最初は恐る恐るさわっていた子どもたちも、少しずつ慣れてきました。



こんなにたくさんの生きものが学校の近くにいたなんて、みんなびっくり。学校にビオトープをつくったら、どの生きものが来てくれるでしょうか?



第3回笄小学校訪問「設計図を作ろう!」2009年7月1日(水)

前回の有栖川宮記念公園での観察を思い出しましょう。どんな生きものがいて、どんなすみかに住んでいたかな?



大きな木がある暗いところや、池の浅いところ…いろんなすみかがありました。じゃあ、学校に生きものを呼ぶためには、どんなビオトープにしたらいいんだろう?今日は、みんなで設計図を考えます。



校庭にある、この池にビオトープをつくります。みんなでよーく見てみましょう。





学校の後ろに見えるのは、六本木ヒルズ。本当に都心の学校なのです。

さて、教室に戻りましょう。休み時間、飯島先生のまわりにはどんどん子どもたちが集まってきます。





授業再開。いいすみかにするためのアイディアがぽんぽん飛び出します。まわりにある石を取っちゃおう!明るい池と暗い池をつくりたい!川のような池をつくったらどう?





すてきな設計図ができたけど、つくるのはとっても大変そう・・・本当にできるのかな?



第4回笄小学校訪問「ビオトープ造成!」2009年7月9日(木)

これまで、いいすみかをつくるためにはどうしたらいいか、生きものの気持ちになって一生懸命考えてきました。いよいよ、実際にビオトープをつくる!・・・のですが、今回は池を大改造するので、子どもたちだけでやるのは大変。そこで、7月3日(金)、当社のボランティア社員が事前に作業しておきました。池の中にいるメダカなどを別の場所に移して水をくみ出し、石や水草などを取りのぞき、池を空っぽにして、準備完了!



では、ビオトープづくりを始めましょう。まずは土を運ぶグループ、池を掘るグループにわかれます。今日も、5人のボランティア社員がお手伝い。当社の社長も参加しました。







夢中で作業する子どもたち。早く、ビオトープを完成させたい!!



だいぶ形ができてきました。ビニールシートを敷いたら、また土をかぶせて、足で踏んで固めます。



さあ、仕上げの段階です。みんなで順番に水草を植えましょう。





ついに、ビオトープ完成!みんな笑顔です!



ビオトープの名前は、多数決で「生き物にこにこパークシティー」になりました。10月になったら、観察の授業をします。それまでに、どんな生きものが来てくれるかな?楽しみ!



第5回笄小学校訪問「ビオトープの観察」2009年10月22日(木)

「たくさんの生きものに喜んでもらいたい!」という願いをこめて、7月にみんなで一生懸命つくったビオトープ。3ヶ月がたち、子どもたちはビオトープを観察して、まとめた結果を教室の前に貼りました。





今日は、その観察結果の発表会&アサザ基金の飯島先生への質問会。伝えたいこと、聞きたいことがたくさんあるようです。



班ごとに発表していきます。みんな、思っていたより生きものが来ていないと感じている様子。誰かが金魚を入れてしまったらしく、水が濁っているのです。学校での人気も調べましたが、低学年はよく見に来るけど、高学年や先生はあまり来てくれません・・・。
水がきれいになったら、生きものが増えて、たくさんの人が見に来てくれるんじゃないかな?と子どもたちは考えました。まずは金魚をビオトープから出さないといけません。でも、どうして金魚がいると水が濁るの?



飯島先生が教えてくれました。金魚は池の底の方に住んでいて、口が下向きについています。土の中に口を入れて、土ごと飲み込んでエサを食べ、エラから土を出すのです。だから、水の中がかき回されて濁ってしまう。最初の授業で学んだ「生きものの体のつくり」、何でもこれがポイントです。



みんなの「笑顔」が足りないんじゃない?という班もありました。もっと人気を増やすにはどうしたらいいの? 飯島先生は「生きものでにぎやかになるといいよ」とアドバイスしました。生きものに気に入ってもらうためには、生きものの気持ちにならなければいけません。自分たちだけじゃなく、生きものも笑顔にならないと。もしかしたら、それがまだ足りないのかな・・・?



いい水草を入れたら、ビオトープがもっとよくなるかもしれない。いい水草ってどんなもの? それは、他の色んな種類の水草や生きものたちと仲よくくらしていける草。反対に悪い水草は、「俺だけの場所だ、どけ!」とひとり占めして、みんなと仲よくできない。大事なのは、バランス。色んな生きものが、それぞれの違いを認めて、一緒にくらせるのがいいビオトープです。みんなのクラスと同じですね。

では、あらためてビオトープを観察しましょう。ついでに、生きものたちがからまってしまうアオミドロと、金魚を取りのぞきます。


生きものが少ないと思っていたけど・・・



アキアカネ、タニシ、アメンボ、サカマキガイの卵・・・どんどん見つかります。アキアカネはきっと何百kmも遠くの山から飛んできて、このビオトープを見つけてくれたのでしょう。



なんと、ヒキガエルの赤ちゃんが2匹もいました!ヒキガエルはアマガエルなどと違って、木に登ったり、ピョンピョン跳んだりできません。土の上や、雨が降った後の地面を歩くしかないのです。ここまで来るのはとても大変だったはず。



あまり都会にはいない種類のヤゴもいっぱいいました。ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、イトトンボにウスバキトンボ。東京の外側の遠い遠いところからやって来て、この笄小学校をちゃんと見つけてくれたのです。小さなビオトープだけど、生きものの道は日本中につながっているんですね。



たくさん発見できて大満足!笑顔で教室に戻ります。さあ、最後の授業です。



最初は、ビオトープがうまくできなかったのかな?と心配していた子どもたち。でもよく見てみたら、色んな種類や色んな高さの水草があるし、浅いところと深いところもあって、とってもすてきなすみかになっていました。だから、たくさんの生きものが好きになってくれたのです。みんなのビオトープは大成功!
うまくできたのは、みんなが生きものとお話できるようになったから。自分がいいと思うものをつくるのではなく、どんなすみかがいいのかを、生きものの気持ちになって考えることができたから。



終わりに、飯島先生がいいました。「みんなが発見したことを、大人の人たちに伝えてあげてください。」楽しい気持ちやわくわくする気持ちを、みんなの言葉で、感じたとおりに伝えてみましょう。そうしたら、人間にも、生きものにも、もっと笑顔が広がります。
ビオトープの水がきれいになったら、どんな風に変わるのでしょうか。しばらくしたら、また様子を見に行ってみましょう。



第6回笄小学校訪問「ビオトープ発表会」2009年12月8日(火)

※画像の一部を加工しています。

ある日、笄小学校の子どもたちから、可愛い招待状が届きました。



ビオトープを観察して気づいたことや感じたことを劇や歌にして、発表会を行うとのこと。
「わくわく子どもの池プロジェクト」がスタートして3年。初めての嬉しいご招待です。

発表会当日。ビオトープ造成をお手伝いした社員ボランティア、そしてアサザ基金のみなさんと一緒に笄小学校へ行きました。
発表会の前に、子どもたちに手を引かれて校庭のビオトープへ。金魚を取り除いた後、水は本当にきれいになったのでしょうか・・・?



すごい!水が澄んでいて、中にある水草がくっきりと見えます。



色とりどりのお花が飾ってあります。だれかがきちんとお手入れをしているようです。



立派な看板もありました。一体だれが作ったのでしょう?



子どもたちが見せてくれた腕章。他にも、いろんな腕章をした子がいます。どうやら、みんな役割があるみたい・・・。

見違えるように立派になったビオトープにびっくり!もっと見ていたかったのですが、そろそろ発表会の時間です。急いで会場に行きましょう。



劇が始まりました。アサザ基金の飯島先生を演じる男の子が、周りの子どもたちに呼びかけます。「笄小学校にたくさんの生きものが来るように、ビオトープを作らないか?」

そう、これは今からちょうど半年前、当社と飯島先生が初めて笄小学校を訪れたときの様子。そして、校庭にある池を改造して、ビオトープを作ることになったのでした。



次に出てきたのは、「ビオトープデザイナー」たち。あの看板を作ったのは、ビオトープデザイナーだったのです。「これからも、ずっとずっと、笄小学校のビオトープを守ってくれる看板であってほしい。」みんなの願いがこめられています。



秋になり、いろいろな生きものがやってきました。居心地のよいすみかが見つかったと喜んでいます。だけど、金魚がいたのでみんな大パニック!「金魚は水をきたなくするし、タニシを食べちゃうから、ここにいてはだめよ。」金魚をビオトープから出して、一安心。



大きなあん内マップを持って現れたのは、「ビオトープマップせいさく部」。このマップを見れば、ビオトープにどんないきものがいるのかが一目でわかります。たくさんの人が見に来て、人間も、生きものも、笑顔になりますように・・・。そんな気持ちをこめて、ビオトープに「生き物にこにこパークシティ」という名前をつけたのです。



「ビオトープかんり人」のしごとは大変です。休み時間にごみをひろったり、悪い水草を取ったり、水を入れたり・・・生きものの気持ちになって、いつもすみやすいようにしてあげるのです。それから、遊びにきた子どもたちにビオトープのことを教えてあげます。お花のお手入れをしていたのも、「ビオトープかんり人」でした。



「いらっしゃい、いらっしゃい!」と威勢のいいかけ声で店員さんが売っているのは、「日本一のビオトープ」!みんなを笑顔にしてくれるビオトープは、どんどん売れていきます。そして、一人ひとり考えて作った「ビオトープ説明書」を、発表会を見にきた人に配ってくれました。



彼らは「ピーアール活動隊」。パンフレットを作って各クラスを回り、先生方一人ひとりにも説明して、ビオトープのことを学校のみんなに宣伝してくれています。自分たちが作ったビオトープを、みんなで守っていけるように。ビオトープはもう自分たちだけのものではなく、たくさんの生きものが仲良くくらす、大切なすみかなのですから。



最後は、3年生みんなの合唱。「崖の上のポニョ」のメロディーにのせて、「笄小のビオ」という歌を歌ってくれました。みんながビオトープを大事にする気持ちが伝わってくる、すてきな発表会でした。



発表会の後で、飯島先生が言いました。「招待状も出していないのに、たくさんの生きものがビオトープに来てくれたよね。それは、みんなの心が生きものに伝わったからだよ。」 そして、今日こんなにたくさんの大人の人が発表会に来たのは、「みんなに期待しているから」。みんなで力を合わせて、東京で生きものが住める場所を広げていきましょう。都会の真ん中なのに立派な自然があったら、世界に自慢できますね。笄小学校のビオトープが、日本一だけじゃなく「世界一」になれるように・・・これからも、みんなで「笑顔」を増やしていってくださいね。