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特集-新任取締役との対談(統合レポート2021)

グループビジョン実現の最終段階に向けて

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    取締役

    手塚 修一

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    代表取締役

    永井 克紀

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    取締役

    新井 貴

  • 株式会社DDD 代表取締役
    NECキャピタルソリューション株式会社
    社外取締役(独立役員)

    萩原 貴子

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    代表取締役社長

    今関 智雄

  • ITN法律事務所 パートナー
    NECキャピタルソリューション株式会社
    社外取締役(独立役員)

    山神 麻子

2021年6月に新たに3名の取締役を迎えました。社外取締役であり独立役員でもある萩原貴子氏及び山神麻子氏、新たに常勤取締役となった新井貴氏と当社の今後の方向性について意見を交わしました。

今関
私は当社に入社する前はNECやNECグループ会社に勤務していました。永井、手塚も同様の経歴を持っています。今回、日本政策投資銀行出身の新井が常勤取締役に加わり、また萩原さん、山神さんにも加わっていただき、取締役会の多様性をさらに進展させることができたと思っています。グループビジョン実現に向けた取り組みも最終段階を迎え、これまで以上に、実現に向けた施策の着実な遂行が求められています。今日は、グループビジョン実現の最終段階に向けた、当社の今後の方向性について意見を交換したいと思います。

NECとの事業の連携・協業について

山神
早速ですが、NECとの関係について教えてください。どちらも上場会社であるという立場と、NECグループとしての全体最適という観点から、具体的にどのような連携をされているのでしょうか。
今関
当社は、NECと共に歩んできた背景から自社の強みを培ってきました。ただNECと当社は業態が異なる上に、独立した上場会社ですから、確固たる実力をつけ、お互いがWIN-WINのビジネスパートナーとなるべく努力をしています。例えば当社は多くの官公庁・自治体のお客様と取引していますが、これはNECと共に成長してきた経緯から培われた強みの一つです。また当社はICT製品を多く取り扱ってきました。ICT製品は低価格化が進み、リース会社を頼らずとも手に入れることは可能ですが、資産管理に加えてセキュリティ対応やライセンス管理等、とにかく管理に手間とコストがかかります。当社はNECと共に成長してきた中でICT周辺のノウハウを蓄積し、ICTのライフサイクルを一気通貫で提供する当社独自のサービスを構築してきました。当社の強みを当社らしいサービスとして実現した一例です。
萩原
少し違った観点で、当社とNECやNECグループとの関係性について教えてください。前職でメーカーに勤務した経験から、一言でグループ企業といっても、グループ全体のブランドに対する求心力や風土には違いがあるように思っています。
今関
NECグループは、いいモノやサービスを作り上げることを大切にしています。それに見合う条件や品質を提示しなければ、グループ内企業であろうとその製品やサービスは採用されません。その意味で常にお互いが切磋琢磨を続けています。当社はリース事業を主力として成長してきましたが、リース市場は2008年のリース会計基準の変更やリーマンショックを経て、市場規模の縮小を余儀なくされました。そうした厳しい状況下でも成長を続けるため、当社は独自にファイナンス事業の強化を進め、金融サービスの幅を広げました。その結果、NECに対して有効なファイナンス提案や連携ができるようになり、2014年にNECの財務部にファイナンスソリューション部が設置される際、当社に協力要請がありました。組織新設の背景には、金融サービスを戦略的にNECのビジネスに利用したいという意図がありました。当社の主力事業がリースであることは今も変わりませんが、試行錯誤しながらも金融サービス会社としての力を蓄えてきた成果の一つと捉えています。

グローバル展開について

今関
NECとの連携・協業を活かした取り組みには、海外進出もあります。当社はアジアを中心に現地に法人を設立し、2020年には米国にあるNECの金融会社を当社の子会社としました。サービス化の面で先行する北米市場においてNECのソリューションのサービス化等に取り組み、経験を積んでいきたいと考えています。
山神
程よい距離感や緊張感がある中で、いい関係を築いているのですね。米国における取り組みは市場規模からも今後が楽しみな分野です。一方、アジアは経済状況について見極めが必要な難しい時期ですが、こういう時だからこそ、現地のリレーションから現状のニーズをヒアリングする姿勢を強めるとよいと思います。コロナ禍で現地に赴くことは難しいですが、オンラインで顔を見ながら情報交換や相互理解を深めていくことで、現地から報告される情報の質の向上につながると思います。

ダイバーシティに関する取り組み

手塚
当社が急激にサービスメニューを拡大するとともに、海外進出も果たすことができた背景には経験者採用があります。当社は、社員の約半数が経験者採用者となっており、その意味でダイバーシティ&インクルージョン(包括・融合)が進んでいると言えます。
萩原
平均勤続年数13.2年というデータは、経験者採用の多さとその定着率の高さの表れなのですね。会社の発展が続く中で、その動きに対応できる人材の確保と育成は重要な課題です。その点では既に多様性をうまく取り込みながら成長を実現してきたと理解しました。当社の人材育成の方針として、専門性を持つ“強い個”の育成に注力されていると伺いました。この考え方はますます重要性を増してくると思います。若い世代は、自らの成長を求めて会社に入社してきます。そういう人材が活躍し定着する会社であり続けたいですね。
永井
私は2020年に取締役に就任して以来、社員の顔を覚えたいと、自分の担当領域のメンバーと1on1の面談を続けています。当社の規模だと、社員一人ひとりと話ができます。面談の場では、全員にやりたいことを聞いています。そのすべてを実現するのは難しいですが、一人ひとりから話を聞くことで、風通しのよい風土を作り、働きやすさとやりがいにつながればと思っています。
萩原
とてもいい取り組みですね。人として興味を持たれるのは嬉しいことですし、その相手が会社の経営陣であればなおさらです。「相手に興味を持つ」「思いを言葉にする」、この2点は多様性を組織の強みとするために重要で効果的な取り組みだと思います。自分の夢や希望を言葉にすることで動き出すものもあり、個人の成長と組織の活性化につながると思います。

グループビジョンの浸透について

今関
グループビジョンは、多様な人材の価値観を束ねるものです。グループビジョン実現に向けた取り組みも最終段階を迎えています。これまでも中期計画策定のたびに社長が全部門と対話会を行う等、折に触れて説明する機会を設けてきましたが、2020年に意識調査した結果、理解度や認識の一部にばらつきが見られ、改めて浸透施策を強化しています。
手塚
グループビジョンの根幹にあるCSVという概念は、抽象的で簡単に腹落ちするものではありません。そのため、身近で具体的な例を取り上げながら浸透活動に継続的に取り組む必要があると認識しています。
永井
当社は長年官公庁・自治体の案件に取り組んでいます。例えば、GIGAスクール構想や消防の指令システム等を金融面からサポートしています。まさに社会課題の解決や住民生活の安心・安全につながるサービスです。直接案件に関わる社員は、お客様との会話等から社会課題を実感する機会もあると思いますが、間接部門やバックオフィスはそうはいきません。日々の業務に追われる中で、立ち止まって考える機会を設けることが必要です。
萩原
社長が社員に向けて自らの言葉で語ることの影響は絶大です。是非継続してやっていただくとよいと思います。きっと社員にも伝わります。
山神
社員ぞれぞれの生活の中にも社会課題への気づきがあるはずです。それぞれの気づきをアイディア出し等で形にしながら貢献できる場があれば、営業の最前線でなくとも、グループビジョンの実現に参画している意識が強くなり、「わくわく感」の醸成につながるのではないでしょうか。また、理念やビジョンを語ることは、会社の成長だけでなく、コンプライアンスの面からも役立つと思います。テレワークが浸透する中、対面でのコミュニケーションが減ったことで、不正を犯す機会が増える面があるのは事実です。複数担当者による対応、定期的な担当替え等で不正の機会を取り除くことはコンプライアンスの基本ですが、加えて、社員と共に理念やビジョンを語ることで、健全な組織風土が作られ、不正を犯す動機を減らし、不正の正当化を抑止することにつながります。
新井
私は、政府系の金融機関を経て当社に入社しました。バブル経済崩壊後の処理を経験する中で強く実感したことは、理念のない金融は暴走するということです。グループビジョンの浸透は、行動原理の統一化や他社との差別化を図る観点以外にも、金融会社としてのコンプライアンス、軸足を確立する意味で非常に重要と感じています。ビジネス形態がモノからサービスにシフトする中で、軸足を定めることで足を踏み外すことが少なくなると考えています。金融サービス会社としてのさらなる飛躍に向け、グループビジョンの理解浸透に向けた試行錯誤を重ねていきたいと思っています。

「社長対話会」の様子

女性活躍推進について

手塚
リースは、契約開始から契約終了までの期間が非常に長く、事務作業が煩雑です。また貸金業を営む上で、業法に沿った適切な対応が求められるため、事務処理のミス等は許されません。そのため、当社の事務を担っている社員は、当社の競争力の源泉であると位置づけています。そうした事務作業を主に担っているのは女性社員です。女性活躍というと管理職比率を上げることだけに関心が向けられがちですが、当社は上位職へのステップアップの支援だけではなく、女性社員が活き活き働くことのできる職場づくりや制度の見直しを行っています。
山神
事務作業を主に担っている女性社員を競争力の源泉と考え、働きやすさ・働きがいを工夫しておられる点がすばらしいですね。会社の成長にとってどう人材を活かしていくかという考えのもとに、地に足がついた活動を展開されていると感じます。こうした取り組みは管理職比率等の数字には表れませんが、方向性を定めてあるべき筋道を進んでいると感じます。
萩原
女性活躍において難しいと痛感することの一つに、主に事務処理を担当する社員に会社メッセージが伝わりにくいということがあります。経営戦略や経営方針から導かれる期待感が伝わりにくいこと、伝える努力が十分でないことが多いためです。このため、言葉で繰り返し伝えていく、目に見える形(制度)にし、採用・育成・登用と評価の実績を積み上げていくことが大切です。社員、特に女性の価値観や働き方はそれぞれです。上を目指したい人もいれば、現在の職種で力を発揮したいという人もいます。大切なのはそれぞれの仕事に誇りを持ってもらうこと、また適切な成長機会を提供することです。自分で選んでこの仕事をやっている、という意識を持つことで、自身の仕事に誇りを持つことができますし、“強い個”の育成につながります。

「“自分らしく働く”ためのワークショップ」の様子

最後に

新井
お二人のご意見をお聞きして、今日は当社についてやや美化しすぎてお伝えしてしまったのではないかと恐縮しています。金融の立場からどう人材育成を行っていくか。また、常勤取締役の一人として現場にどう発信し、どう社内に情報を深化させていくか、を改めて考えさせられました。
山神
ありたい姿を追求し続けることはとても大切だと思います。当社は健全な危機感を持っておられ、その中でどう生き抜いていくかを考え、常に先を見ておられます。だからこそ変わり続けることができるのだと感じます。本日は当社の今後の成長への期待を確認することができました。
萩原
本日は和やかな雰囲気でお話をさせていただきました。「金融」は、ロジカルでクールなイメージがあると思っていましたが、当社には温かさを感じます。これは常に時代の先を読みながらぶれずに高い理念を持って変化に挑戦し続けてこられた結果であり、当社のカルチャーなのでしょう。NECキャピタルソリューションが持つ「温もり」は、その中にいると感じにくいかもしれませんが、とても得難い企業風土であり、社員の皆さんと共に今後も大切に育んでいくことが大事だと思います。
今関
本日は、当社が取り組みを進める中で必要なこと、大切にしなければならないこと等、多くのご示唆をいただきました。社長自らの言葉で語ることの大切さについても再認識しました。本日の気づきを活かしながら、グループビジョン実現に向けた施策を皆さんと共に着実に進めていきたいと思います。