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ステークホルダーダイアログ(統合レポート2020)

強いパートナーシップで急加速するデジタルトランスフォーメーションを先導する。

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    執行役員

    柳沢 美介

  • 日本電気株式会社 社会公共企画本部長
    NECキャピタルソリューション株式会社
    社外取締役

    永井 孝典

  • NECキャピタルソリューション株式会社
    代表取締役社長

    今関 智雄

新型コロナウイルス感染症の拡大により社会が急激に変化する中、当社が取り組むべき社会課題とCSV経営について、国内を代表するICT企業であるNECの永井氏(当社社外取締役)を交え、主に官公領域における今後の方向性を探りました。
(対談実施日:2020年9月25日)

NECから受け継いだ社会への貢献マインドと当社グループビジョン

今関
今関
NECグループは、1899年の創業時から「ベタープロダクツ・ベターサービス」の精神に基づき、価値ある商品やサービスをイノベーションで創造し、お客様と社会に貢献してきました。こうしたマインドは、グループ内に脈々と受け継がれ、NEC製品の販売金融機能のみを担っていた当時は、当社社員は自ずとNECグループの一員として社会の役に立っているという自覚を持ちやすかったと思います。現在は、一上場企業として、ICT製品のリースのみならず金融サービス会社として提供可能なソリューションの幅を広げています。ビジネスの多角化に伴い、会社の進むべき方向性を改めて明確化するためにグループビジョンを制定し、当社グループが社会課題を解決していくことで企業としての利益を獲得していくという意識の共有を図っています。
柳沢
私は官公・自治体領域を担当しています。官公庁や自治体に向けて、ICT等のシステムをNECと一緒にお客様にリースとして提案する際、直接製品やソリューションを提案しているNECの社員は社会に貢献していることを自分事として実感していると思います。その一方で、目に見えない「金融」を提案している当社の社員は、社会の課題解決につながっているにもかかわらず、NECの社員と同じような実感を持つことが難しい。当社グループビジョンを共有することで、我々の事業活動や自身の仕事が社会の役に立っている自負や誇りにつなげていきたいと思っています。
永井
NECは、NECグループが共通で持つ価値観であり行動の原点である「NEC Way」を定めています。企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」にあるように、NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指しています。社員一人ひとりが「NEC Way」についての理解を深めて行動に結びつけることが、NECグループのさらなる成長への一助となります。
今関
当社でもNECグループの一員として、「NEC Way」を共有しています。NECグループとして同じ方向を向いて事業を推進する一方で、NECと業態が異なる当社グループでは、独自にグループビジョンを掲げ、取り組みを推進しています。「NEC Way」を起点にしたわけではありませんが、当社のグループビジョンは結果的に「NEC Way」を当社の言葉で言い換えたものということもできます。
永井
NECグループには関係会社がたくさんありますが、その中でもNECキャピタルソリューションは上場企業として、他の関係会社とは違った位置づけにあります。NECはグループ企業各社が、それぞれの事業を確立していくことに重きを置いたグループ経営を進めてきました。NECという共通項を持ちながらも、それぞれの会社が主体性を持ち、個性ある事業を行っていくことが、グループ全体の力につながると考えるからです。 金融サービスを主体とするNECキャピタルソリューションは、NECグループの中で、特殊な位置づけです。お客様が新たにシステム開発等の設備投資をする際に、お客様側では同時に資金面の考慮が必要になります。お客様に、システムだけではなく、ファイナンスを含めてソリューションを提案できることは、他社との差異化を図るための提供価値を高めます。グループ内に金融会社であるNECキャピタルソリューションがあることは、NECグループの強みであり、資産だと考えています。
柳沢
パソコンだったらNEC、という時代もありましたが、今は、ブランド力ではなく、お客様の課題解決に対する貢献度で選ばれる時代です。このような状況下においては、お客様に対して、私たちNECグループが何をどう提案できるかが重要となります。必要なのは、満足していただけるソリューションであり、当社がファイナンス面でのお手伝いができることもまたその要素の一つです。NECの提案に、我々の強みを追加することで、競合他社と差別化できる案件も増え、NECとのパートナーシップは一段と深まったと感じています。
今関
グループ企業内であっても、無条件で当社にビジネス機会があるわけではありません。NECに対して価値ある提案をし、NECが行うお客様への提案をいかにサポートできるか明確に提示しなければ、NECにビジネスパートナーとして選ばれません。当社は、ここ5年くらいで海外のファイナンスも取り組むようになりました。NECの海外向けのプロジェクトファイナンスでは、海底ケーブル等大きな案件も多く、複数の金融機関を取りまとめ、シンジケートローンをアレンジする側として事業に携わる機会を得ました。当社が、一上場企業として独自商流の拡大に取り組み、リース以外の金融サービスの幅を拡大してきた結果と考えています。こうした積み重ねにより、NECとの間により強い信頼感が醸成できているのではないかと感じています。
永井
同じグループ会社であっても、お互いに切磋琢磨し選ばれ続ける会社で在ることはとても大切なことです。もちろん、「社会に貢献していく」「新しいテクノロジーを生み出し続ける」という、NECグループの共通項がベースにあり、これは変わることはありません。この共通意識があるからこそ、グループ全体で、より大きな価値を創出することができるのだと思います。

「withコロナ&afterコロナ」における新たな社会課題の解決に向けて

永井
永井
今はまだコロナ禍にあり、環境は不透明ではありますが、まさにここから社会の在り方や行動様式の大きな変化が起こります。リモート・タッチレスやデジタルトランスフォーメーション(DX)といったキーワードで、ニューノーマルに対応していくためのIT投資が一気に拡大するでしょう。これまで規制や制限の中で、なかなか実現できなかったことも、大きく前進する可能性もあります。我々がこれまで仕込んできたことが、一気にビジネスとして広がる流れを感じています。
柳沢
デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れは変わることなく、今回の新型コロナウイルス感染拡大によってアクセルが踏まれて、なかなか前に進まなかった変化の時間軸が、急に早まったと実感しています。例えば、GIGAスクール構想もその一つです。現在、政府は、学校の児童・生徒が一人当たり一台のパソコン・タブレットを使える環境を整える取り組みを進めていますが、これも、数年前から言われながら、なかなか普及せず、コロナ禍にあってようやく対応が加速されました。

重要なのは、ただモノを普及させるのではなく、普及した後に、それをどう活用していくかです。普及の先にある次のステップに、NECグループとしてどう関わることができるのかをしっかりと考えていかなくてはなりません。我々は、長年、学校向けのパソコン配備に関する案件に携わってきましたが、今後もこの分野に積極的に関わり、社会的な価値を創造しながら、ビジネスチャンスを拡大していきたいと考えています。
※ GIGAスクール構想:2019年12月に文部科学省から発表されたプロジェクト。GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略。
今関
「サービス化」を突き詰めていく先に、当社が目指す「真のサービス・カンパニー」があります。まさに、今期からスタートした「中期計画2020」では、当社がサービスという付加価値をこれまで以上に幅広く、そして深く提供していくことを目指しています。高度な専門技術を擁するICTやIT事業者のサービスと、我々のファイナンス+αをコーディネートし、さまざまなサービスをトータルで、しかも、有益でバランスの取れた形で一つのパッケージとして提供できる企業が、我々が目指す「サービス・カンパニー」です。
柳沢
当社が目指すサービス・カンパニーの在り方を考えた時、メーカーが提供するテクノロジーをベースとしたさまざまなソリューションを縦糸に、保守や運用、サービス等の専門的な役割を持つ企業を横糸として金融をベースに紡いでまとめて提供する、その仕組みの中心的な位置づけにならなければいけないと思います。もちろん、NECが独自に展開するサービス事業には、積極的に協力・支援を行いますが、NECから見てコア領域でない分野では当社がまとめ役となって全体をコーディネートする役割を目指すべきだと考えています。
永井
NECキャピタルソリューションから見てNECのサービスが一つの選択肢として見られることもありうるでしょう。NECグループ全体で見た時に、個々の会社が強みを培うことで、グループとしての変動対応力が生まれます。NECグループは社会にどう貢献していくかを常に考えてきた会社です。こうした共通項を携えながら、お互いが選ばれ続ける会社であり続けることで、NECグループ全体の発展につながります。

不透明な時代をチャンスにできる、信頼できるビジネスパートナーに

柳沢
今関
国内では、テレワークや非接触システム向けのICTの需要が急激に高まっており、当社も従来以上のメニューを、サービス型で提供する機会が増えることを期待しています。中期計画2020では、金融とICTで社会の変革を先導することを目指しています。NECをはじめ、多くのパートナー企業と協力して、価値ある提案をしていきます。
永井
NECにおいても、新型コロナウイルス感染拡大によってもたらされた社会のニーズの変化をビジネスチャンスと捉え、デジタル化、リモート化、オンライン化、省人化、タッチレス化等の最新技術を活かして顧客価値創造につながる事業開発力を強化しています。ただサービス型となると、代金をどのように回収するのかといった金融実務の難しさもあり、専門的なノウハウが必要となります。これまでNECキャピタルソリューションが培ってきた金融のノウハウが活きてくると考えています。

今回の新型コロナウイルス感染拡大では、東京の一極集中も大きな問題となりました。これからの日本を作っていく上で、地方をどのように活性化していくかというのも大きなテーマです。どういった事業を作り、どう活性化していくのか。これまで全国の自治体や病院、企業と関係を構築してきたNECの強みと、NECキャピタルソリューションの金融の知識を掛け合わせて、地域の活力を上げるための施策を行っていきたいと思っています。
今関
地方には、観光や農業等、貴重な資源が豊富にあります。そこに、NECのICT技術と我々の金融のノウハウを加えれば、地域の活性化に結び付けられるだけでなく、利益を創出できる事業へと価値を顕在化させることができるはずです。

当社の中期計画の戦略施策の一つにNECとの戦略的なパートナーシップの強化があります。パートナーは共通項を持ちながらも、完全に一体化するのではなく、各々別の事業領域も併せ持つべきだと考えています。金融やICT等、他に強みがあるからこそ、1+1を2ではなく、3にも4にもすることができるはずです。そのために、我々自身が開拓者となり、新しい事業機会を見つけて取り組みの幅をさらに広げ、今後のNECとの戦略的なパートナーシップをさらに強化したいと思っています。
永井
当社グループ社員全員が同じマインドを持って仕事を進めることで、本物の活力になりますし、自力で開拓した事業は、自社のクオリティに直結します。それこそが、会社の価値向上になるでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大による社会の大きな変化は、我々にとって強力な追い風であり、また時として、向い風になる可 能 性もあります。NECとNECキャピタルソリューションは、これからも単なるグループ企業以上のパートナーシップを築きながら、多くのお客様のお役に立てるようなアイデアを出し合い、不透明な時代にあっても、社会の課題を解決できる存在であり続けたいと思っています。