サイト内の現在位置

企業情報

企業情報 企業情報

ステークホルダーダイアログ

CSV経営の果たす役割

事業環境が大きく変化していく中、グループビジョンが描く社会価値を生み出すために、当社に期待される役割について、対話を通じて方向性を探りました。

ベンダー様とお客様の架け橋としてより高い社会価値を創造していく

司会
当社のお客様は、主として官公庁・自治体、民間企業、金融機関に大別されます。当社はこれらのお客様に対して賃貸・割賦事業、ファイナンス事業、リサ事業、その他の事業といった事業セグメントで金融ソリューションを提供しています。幅広い金融ソリューションに加えて、NECとの戦略的な連携、メーカー系リース会社としてのICTに対する豊富な知見等が強みであると自負しております。
今関
当社は、創業当時は主にNEC製品のリースが中心でしたが、事業内容を拡大し金融サービスの幅も広げました。
2008年に現在の社名に変更し、その時から「私たちは『Capital Solution』を通してより豊かな社会の実現に貢献します」という企業理念を掲げています。その後、さらに取り組みが多様化しソリューション提案やサービス付加価値の提供を目指す中で、社員全員が会社の方向性を共有できるように、グループビジョンを策定しました。「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」です。10年かけて実現を目指している最中です。
足達
いわゆるリース会社から、ソリューションを提供するサービス・カンパニーへの大転換を図ってこられたわけですね。
青木
創業当時のビジネスモデルは、お客様のニーズに合わせてNECが構築したシステムへの支払い手段としてリースを提供するものでした。現在は、ベンダー様とお客様との間を取り持つことで、より高い付加価値を提供する、あるいは、どんなサービスを提供すればお客様と当社によって「社会価値」を創り出せるのかを考える、そうした目線に変化しています。以前はお客様自身が求めているものが明確でしたが、現在は技術や産業が高度化・成熟化する中で、お客様の潜在的な課題やニーズに対するソリューションの提案を求められることが多くなりました。自治体向けビジネスにおいてもこうした傾向が強まっています。

社会の構造変化に対応しつつあるべき姿を情報発信していく

足達
地方に目を向けると、少子高齢化や地域間格差がもたらす社会の構造変化は、深刻な問題になりつつあります。この先20~30年ほど、自治体は、人口の減少、財源難、税収不足等により、これまでとはまったく異なる様相を呈するようになるでしょう。
そうした際に、キーとなるソリューションは「金融」であろうと思います。民間の資金や創意工夫を、自治体経営なり地域の皆さまのQOLの維持に活用する仕組みやアイディアがいっそう求められることになります。
青木
それはひしひしと感じています。当社は、日本全国各地の自治体に出入りさせていただいているのですが、最近では、近隣の自治体と同じシステムやサービスを共同で利用したい、あるいは、市町村合併後の資源の再配分や街づくりの再設計が必要だと考えている自治体が多くなりました。でもそれを取り持つ人がいない。これからは、資金調達も含めた取りまとめ能力まで要求されるようになるかもしれません。当社は、そんなお手伝いも可能かもしれない。

足達
そういった問題意識をお持ちの自治体も少しずつ増えてきているように思います。これからは自治体経営、まちづくり、高齢化時代の地方都市のあり方やあるべき姿を描き、民間から情報発信していくことも必要になってくると思います。
青木
そのためにも現場でリーダーシップを取られている首長さんの実際の生の声を聞くことが肝要で、全営業現場がきちんと声を吸い上げた上で、自分達で方向性を考えながら提案するような営業活動を展開できるようになりたいですね。
今関
その解の一つの形としてPFI、PPP等もあると考え、当社では、これらにも注力しています。
足達
従来、パブリックセクターの仕事は、予算に基づき入札等を経て最適なものが選ばれるというのがいわば“常識”でしたが、PFIを活用することでクリエイティブな世界がどんどん広がっています。財政や税金では支えきれなくなった公共サービスを“共助”の観点から支えるという意味でも、今までの行政が果たしてきた役割を転換すべき時代に来ていると思います。
※QOL:クオリティ・オブ・ライフの略で、「人生の質」または「生活の質」という意味合いを持つ。人々の生活や人生を物質的な面から数量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方。

リース案件に加えて他の金融のスキームでも勝負できる

司会
当社の民間企業向けビジネスでは、近年、顧客基盤の拡充を目指して中堅・中小企業に向けたサービスにも力を注いでいます。この分野での注目点やヒント等をご教示ください。
足達
ファブレス化という言葉に象徴されるように、現在、会社の機能のすべてを自社で持つのではなく、設備も人もできるだけ外部化し、自社ではコア業務に特化したいという流れにあります。こうしたアウトソーシングニーズを考慮せず、リースビジネスを展開してもミスマッチが生じてしまいます。このミスマッチを解消していくことが民間ビジネスを展開する上での鍵となるのではないでしょうか。
青木
おっしゃる通りで、当社は単なるリースではないベンダー・ファイナンス・プログラムにも注力しております。設備とリースといった1対1のビジネスではなく、設備等を販売するベンダー様に対し金融スキームや代金回収のスキームを提供するもので、1対nのビジネスになります。ベンダー様にとっては販売力強化、その先のお客様にとっては利便性の向上と、両者に役立つソリューションです。
今関
NECグループの金融サービス会社として事業を展開する中で、培ってきたノウハウの一つでもあります。
足達
一方で、設備投資を前提としたビジネスもないがしろにできません。近年の傾向として、お客様サイドの意思決定が金融やリースのビッグチャンスになる場面も見受けられます。例えばCO2排出量を抑制する調達に切り替えるという意思決定がされると、一連の商流(サプライチェーン)の中で、大規模な設備投資が発生します。さらにその設備投資に対応する資金をグリーンボンドで調達するといったようなお話も聞きます。お金に色はないと言われてきましたが、お金の借り手も、その使用目的を明確にしてお金を借りる流れができつつあります。何に使うお金なのか、何を運用するために必要なお金なのか、ということを明確にした金融です。こうした金融には、商業銀行よりもリース会社のソリューションの方が適合しやすい。加えて、これにSDGs(持続可能な開発目標)の達成という社会的な目標を考え合わせると、リース会社のポジションの優位性が見えてくるし、CSV経営そのものが評価されるきっかけになるだろうと思います。
今関
当社の「環境・復興支援シンジケートローン」がそういうコンセプトで、そのCSV側面をご評価いただいてきました。
※グリーンボンド:
地球温暖化対策や再生可能エネルギー事業等のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行される債券。発行体は国際機関から国・地方公共団体・民間企業まで多岐にわたる。

最新のテクノロジーを研究する中から新たな社会システムをソリューションとして提案していく

司会
CSV経営とSDGsというのは非常に密接につながっているかなと思います。
足達
CSV経営が追求する社会価値を、グローバルな観点で具体的な項目に分類したものがSDGsの考え方だということができるでしょう。
今関
4年ほど前から、社会課題の解決を通して自らの企業価値を高めるという経営に踏み出しましたが、そうした意識が社員の間に定着しつつある反面、経営としての難しさを日々痛感しております。
青木
新事業領域では、エネルギー、ヘルスケア、農業、観光とさまざまな挑戦を行うことで、確かに社会的に価値のある取り組みを増やしてまいりましたが、その取り組みが直接的な利益としてお客様や当社にすぐに見えないため、評価がなかなか難しい。評価が難しい中でどこまでできるのか自問自答しながら根気強く取り組んでいます。
司会
最後に、金融サービス会社としての当社に求められる役割についてアドバイスをお願いいたします。
足達
ICTが金融や環境にもたらすインパクトを研究する中から、新たな社会システムをソリューションとして提案していただきたいと思います。例えば、ブロックチェーン、金融、地球環境という三つのキーワードについて、掛け算でソリューションを考えている企業はまだないわけで、御社が一番いい立ち位置にあるのではないかと期待しております。
今関
今までにないソリューションをお客様やベンダー様へ提案していく。これは、当社としても注力していきたいと考えています。ご期待に添えるよう取り組んでまいります。