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トップ対談(統合レポート2025)

SBI新生銀行グループとの連携を通じ、事業シナジーを最大化し、
持続的な成長と企業価値向上を目指します。


主要株主の異動により、NECキャピタルソリューションは2024年10月、SBI新生銀行グループの一員となりました。SBI新生銀行やグループ企業との連携により、どのような事業シナジーが期待されるのか。また、両社は今後どのような成長シナリオを描いているのか。当社代表取締役社長の菅沼正明と、SBI新生銀行代表取締役社長の川島克哉氏に話を伺いました。
(対談は2025年6月にNECキャピタルソリューションの本社で行われました)

NEC製品のリース事業を出自としICTに関する豊富な知見を蓄積
官公庁・自治体の強固な顧客基盤も

―― NECグループの金融サービス会社として、1978年に創業したNECキャピタルソリューションのこれまでのあゆみを簡単にお聞かせください。

菅沼
当社は、NEC製品の販売金融を担う会社としてスタートし、メーカー系リース会社としてビジネス基盤を固めてきました。2003年頃からICTサービスへ事業領域を拡大し、2005年には東京証券取引所への上場を果たしました。
リース事業にとどまらず、総合的な金融サービスを提供するため、2008年に社名を現在の「NECキャピタルソリューション株式会社」に変更。2010年には株式会社リサ・パートナーズ(以下「リサ・パートナーズ」)を子会社化する等、金融・不動産に関するソリューションメニューを拡充してきました。
2023年4月には、グループビジョン2030を策定。「次世代循環型社会」の実現に向け、CSV(共通価値の創造)経営を実践し、変革に挑戦する最初の3年間の計画「中期計画2025(2023年度~2025年度)」が進行中です。
現在、リース事業、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業の4つの事業セグメントにて展開しており、2025年3月期の営業利益構成比※1は、リース事業44%、ファイナンス事業29%、インベストメント事業22%、その他の事業5%となっています。

―― 足元のリース業界の動向、業界における当社の立ち位置や強みについて教えてください。

2024年度のリース業界全体のリース取扱高は前年比10.7%増、当社の主力とする情報通信機器は前年比18.7%増と、業界全体を上回る伸びを示しています※2。一方、企業の倒産状況を見ると、2024年度の負債総額は前年比で減少するものの、中小企業を中心に倒産件数が増加傾向にあることは、今後のリスク要因と言えます※3
当社の強みの一つは、NECのICT機器を中心としたリース事業を出自として、ICTに関する豊富な知見を蓄積してきたことです。リース事業におけるICT機器の取扱比率は約8割となっています。もう一つは、NECの顧客基盤や技術力を活用し、官公庁や自治体との強固な関係を築き、安定的な営業基盤を確立していることです。官公庁・自治体の取引先数は約1,800にのぼります。

※1 営業利益構成比は、営業利益の調整額(各セグメントに配分していない全社費用)を除いて算出
※2 公益社団法人リース事業協会「リース統計」より
※3 帝国データバンクHP「倒産集計」より

SBI新生銀行グループとの連携は事業上の親和性、補完性が高く
さらなる成長と企業価値向上が可能に

―― 主要株主の異動にともない、2024年10月からSBI新生銀行グループの一員となりました。業務資本提携に至った背景や課題認識とはどのようなものだったのでしょう。

菅沼
2024年10月にNEC、三井住友ファイナンス&リースが保有する当社株式の一部がSBI新生銀行に譲渡され、当社の筆頭株主はSBI新生銀行となりました。
当社は、メーカー系リース会社から金融サービス会社へ事業転換を図ることで、企業価値の向上と国内リース業界で独自の地位を築いてきました。しかし、金融サービス会社として、さらに事業領域を拡大し、持続的な成長を実現するためには、NECグループの商流に加えて、総合金融グループの商流や知見、ノウハウが必要であるとの認識から、新たな第三者との連携を模索してきました。
そうした中、SBI新生銀行であれば、NECグループとの金融事業におけるパートナーシップを維持しながら、事業上の親和性や補完性のある連携によって成長戦略を加速し、さらなる企業価値向上を実現することが可能であると考え、協議を進めてきました。
私自身、最初にお声がけをいただき、いろいろ話をお伺いする中で、お互いの顧客基盤や主力とする商材が異なることから、非常に補完性が高い業務提携になるだろうと感じました。また、経営陣をはじめ、さまざまな方々と接して、誠実で、気さくな方が多く、会社の雰囲気、文化も近いものがあるのではないかという印象を持ったことから、今回の主要株主の異動によって、ビジネス的にも大きく協業ができるとの期待感を持ちました。
なお、筆頭株主であるNECがICTサービス事業と社会インフラ事業を中核事業として、経営資源の集中を図る中、当社についてはシナジー効果が期待される金融事業者との連携を通じて、中長期的な事業成長や収益性の向上を目指すことが望ましいと判断したことも、経緯の一つにあることを補足しておきます。

―― SBI新生銀行がNECキャピタルソリューションの株式を取得し、持分法適用関連会社としたのは、どういった狙いからですか。

川島
菅沼社長もおっしゃったとおり、ひと言でいうと、ビジネス上の補完関係が働くからです。SBI新生銀行自身、昭和リースという総合リース会社をグループ会社として持っていますが、同社とNECキャピタルソリューションの間に競合する領域やお客様はほとんど見られません。
NECキャピタルソリューションは、官公庁・自治体、大企業を主要顧客とする強固な顧客基盤を有し、ICTに関する知見を生かしたさまざまなサービスの提供に強みを持っています。一方、昭和リースは中堅・中小企業を主要顧客とし、建設機械・産業工作機械分野の資産を対象とするリース・レンタル等のビジネスの強化に取り組んできました。
そうした両社の“組み合わせの妙”を直感的に感じましたので、きっと人の融和さえ進めば、シナジー効果は大きく出るだろうなと思いました。
また、仲立ちとしてNECの存在があり、当行とNECとの間で腹蔵なくいろいろな話ができたこともあり、今回の株式取得ならびに業務提携をスムーズに進められたと考えています。

―― NECキャピタルソリューションの人材や企業文化については、どのような印象をお持ちですか。

川島
われわれはNECキャピタルソリューションの発行済株式の40%以上を保有する主要株主ではありますが、それによって、NECキャピタルソリューションを傘下に収めたというつもりはありません。お互いの強みをうまく生かし、双方のビジネスの成長と企業価値の向上につながることを切に願っています。
われわれSBI新生銀行自体がSBIグループに入る際に、異なる文化が融合することの難しさを全役職員が経験しているので、今回もその覚悟はできていたと思います。実際に、現場の人たちがやりとりする様子を見ていて、本当に違和感なく、お互いのことを思い合い、協業している印象を受けており、「これはきっとうまくいくな」と感じています。

業務提携締結からわずか半年で900億円規模の事業シナジーに繋がる協働案件を創出
今後は指数関数的な成長を期待

―― SBI新生銀行グループの一員となり約半年が経過しましたが、この間の事業シナジー創出の取り組みについてお聞かせください。

菅沼
両社が得意とするそれぞれの事業領域で積極的に連携を進めていますが、中でも成果を上げているのが不動産ファイナンスと再生可能エネルギーの分野です。いずれも銀行法の制約により、銀行が直接投資したり、事業運営したりすることが難しい領域であることから、顕著に連携が進みました。
その他、昭和リースとの協業では、グリーンビル開発ファンドの組成への参画、建設機械の協調リースといった取り組みが進んでいます。
今後は、当社が得意とするICT機器の資産管理サービスを、SBI新生銀行や昭和リースの取引先にご案内する、いわゆる紹介営業も本格的に展開していく予定です。

川島
業務資本提携がスタートしてまだ半年程度ですから、成果というべきか分かりませんが、最初の一歩としてお客様を紹介し合ったり、案件を紹介し合うという、その程度の取り組みで、既に金額に換算すると約900億円のビジネスのやりとりができたことを考えると、将来的にはものすごく大きな成果が出るだろうという予感と期待があります。ですから、現時点で「成果が出た」とするのは時期尚早だと思います。
われわれSBI新生銀行は、まだ公的資金※4が入っていることもあり、大きく資本を使ったビジネスがやりにくいという環境にあります。銀行という業態において、われわれはお客様やビジネスに対してローン(融資)をつけることが中心ですが、NECキャピタルソリューションの場合は、エクイティファイナンスやメザニンファイナンスといった、われわれが今までやりたくてもできなかった分野のケイパビリティを持っており、機能の面においてもお互いの補完機能がしっかりとかみ合っている状態です。
わずか半年程度で成果が出始めたということは、ここから先は指数関数的にビジネスも収益も伸びていくと見ています。

―― 定例協議会等で人的交流が進んでいることと思われますが、案件の紹介や協業以外にもどのような効果があるとお考えですか。

菅沼
申し上げたとおり、SBI新生銀行の皆さんは、非常に誠実で、気さくで、そしてビジネスの意思決定と行動においては極めてスピードが速いです。NECキャピタルソリューションとして何ができるのか、どうすべきかを、われわれの立場に立って、矢継ぎ早にご提案いただいていることはありがたくもあり、頭が下がる思いです。
もう1つ、金融のリスクマネジメントについては、われわれも学ぶべきところが多く、いろいろなアドバイスをいただいています。そうした自社にない知見やノウハウの吸収を目的として、今後は人事交流も進めていきたいと思っています。現時点では、昭和リースから当社に1人来ていただく方向で話が進んでいますが、当社のほうでは、いろいろな社員が「SBI新生銀行に行ってみたい」と言っています。さすがに大勢は難しいので、人数を絞り、現場レベルで人員の交流をお願いできればと考えています。

※4 SBI新生銀行は2025年7月末に約2,300億円の公的資金を完済しました。

融資とファイナンスサービスを組み合わせ企業の資金ニーズにワンストップで対応
協業によりPFI・PPP事業の拡大も

―― ビジネスパートナーとして、今後、どのような成長シナリオを描いていますか。

菅沼
川島社長がおっしゃるように、SBI新生銀行が持つ融資機能に、当社が持つエクイティやメザニンといったファイナンス機能を組み合わせ、企業の資金ニーズにグループとしてワンストップで応えていくことで、案件の獲得と収益の拡大につなげていく方針です。
当社は、官公庁・自治体のお客様との取引実績をもとに、官民連携で公共サービスを提供するPFI・PPP事業を展開しており、これまで地域の教育関連事業や文化施設を中心に数多くの実績を積み上げてきました。PFI・PPP事業は地方銀行と連携するケースも多いため、SBI新生銀行とも連携することで、より多くの地域の自治体の資金ニーズに応えていくことも可能になります。
従来どおり、NECとはビジネスパートナーとしての関係を維持・発展させながら、もう一方で、SBI新生銀行との協業により、主に金融領域で新たなマーケットを開拓していくという“二刀流” でビジネスを展開することができればと考えています。

川島
NECキャピタルソリューションとSBI新生銀行が手を組んだことの一番のメリットは、われわれが銀行だということです。
リース事業を伸ばしていくためには当然、資金が必要になります。ゼロ金利の時代はまだよかったのですが、金融正常化に向けて金利が上昇する中で、「(低コストで)いくらでもお金が借りられる」という世界はもはや存在しません。加えて、貯蓄から投資の流れが加速し、個人の資金が株式市場に流入しており、金融機関は総じて預金集めに改めて注力しています。
一方、SBI新生銀行には足元、約15兆円の預金量があり、資金ニーズに柔軟に対応することが可能です。NECキャピタルソリューションにとって、資本関係を持った銀行が存在することは、今後の成長のベースを支えるという観点で大きな意味があると思います。
また、われわれ自身が銀行として、法人のお客様との取引の一層の拡大を目指す中で、NECキャピタルソリューションが得意とするサービスを含めて、われわれのお客様にシームレスに提供できることは、グループとして非常にメリットが大きいといえます。
もう一つ、つけ加えるとすると、今後、リース業界の再編が起きたときに、やはり先立つものとして資金が必要になりますが、その融通を支援できる点もメリットとしてあり得るのではないかと思います。

―― 心強いコメントをいただきましたが、投資家へのメッセージとして、企業価値向上と持続的な成長に向けた決意をお聞かせください。

菅沼
投資家の皆さまとの対話の中でご指摘をいただくのは、当社の収益性(資本効率)の低さです。2025年3月期実績のROE5.6%は、プライム市場上場企業の中でも低位に位置することから、早急な改善が必要だと考えています。
成長を実感していただけるよう、まずは、今回のSBI新生銀行との協業により、NECグループ以外の商流を太くし、数字としてしっかりと結果を出していきたい。「中期計画2025」では、今年度目標にROE8%を掲げていますが、その上の10%を目指して、各種取り組みを加速させていきます。
川島
お互いのビジネスをサポートし合うのは当たり前として、一方で、リース会社と、リース会社をグループに持つ銀行が一緒になることで、取り扱うデータの量が膨大になります。ご承知のとおり、生成AIは、学習するデータの量が増えれば増えるほど賢くなるので、データ活用の領域でも協業できればと考えています。
世の中の法人のお客様がリースに対してどのようなニーズを持っているのか、一方で融資に対してどういう考え方を持っているのか。両社がそれぞれデータを持ち寄ることで、新しい戦略が見えてきたり、新しい提案のチャンスが生まれるだろうと期待しています。
菅沼
ありがとうございます。ご期待に沿えるよう尽力してまいります。引き続き、よろしくお願いします。